6月にこのタイトル画面が公表された時の興奮は今でも忘れられません。
アサシン クリードのマークが…ギリシア文字のΛ(ラムダ)になっている…だと…!
このたった一文字が、古代ギリシア好きをどれほど熱狂させ、歓呼させたでしょう。
Λ(ラムダ)は古代ギリシアの都市国家スパルタのシンボル。ということは、次のアサシン クリードの舞台は古代ギリシア・スパルタ……!?
まじかよ!やる気か、スパルタVSアテネのあの戦いを…!『アサシン クリード オデッセイ』……!
私は発売に備えて剣を研いでいたが……
そういうわけで、初めまして、古代ギリシア・ギリシア神話研究家の藤村シシンと申します。普段は肩書き通り、古代ギリシアについて喋ったり、書いたり、当時の文化や祭儀を再現したりしています。
先日まで『アサシン クリード オデッセイ』発売に備えて剣を研いだり、盾を磨いたり、PS4を買う準備をしていましたが、光栄にもユービーアイソフトさんからお声がけ頂きまして、古代ギリシア関係でお手伝いをさせて頂く事になりました。
もちろん『アサシン クリード オデッセイ』は古代ギリシアの知識は皆無でも楽しめるゲームです。しかしながら、皆さんのオデッセイ(冒険譚)をさらにエキサイティングに、スリリングに、そして身近なものにすべく、今回から古代ギリシアに関する記事を書かせて頂きます。一緒に古代ギリシアにイーグルダイブして頂けると幸いです。
まずはアサクリシリーズがどれだけ古代ギリシア的にすごいか聞いて欲しい
「アサシン クリード」シリーズがしっかり時代考証をしていることは私も前から存じていましたが、それは古代ギリシア的視点から見ても凄まじいレベルです。
前作『アサシン クリード オリジンズ』でも、古代エジプトに建てられたギリシア風の都市アレクサンドリアが出てきました。
そこでも「ギリシア竪琴の弦の数が正確である(7本)」、「ギリシアの柱の断面が正確である(マルチドラム式)」など、ほぼ狂気と言えるほどでした。
ここまで作り込まれているからこそ、アレクサンドリアの大灯台に登れたときには、本当に当時のこの場に行って、本当に経験したかのように魂が震えました。古代を学ぶ者なら誰もが憧れる場所です!
そして灯台の上から北西の海を見下ろしたとき、海の果てに消えていく船を見たときに思いました。
「ああ、この向こうに古代ギリシアがあるのだ……!」「次作『オデッセイ』ではこの地中海の向こうの古代ギリシアに我々を連れ行ってくれるはずだ」。
そう、『アサシン クリード オリジンズ』の灯台のあの海の向こうにあるのが、今回の『アサシン クリード オデッセイ』で私たちがイーグルダイブする古代ギリシアの世界です。
古代ギリシアとは?〜全く知らない世界にイーグルダイブする予定の方へ〜
とはいえ、多くの方はアレクサンドリア大灯台から北西の海を見てうっとり妄想できるほどには古代ギリシアにご興味がないかもしれません。
「ヨーロッパにあったことは知っている」「古代ローマと見分けがつかない」「名前が全部『ス』で終わり、覚えにくく、テストで痛い目を見せられる」などのお言葉を私もよく頂きます。
中でも多いのが「ギリシアと言えば青い空に青い海、そして白亜の神殿、というイメージがある」というもの。
確かに現存するギリシアの神殿はほとんどが白い状態です。
現在のパルテノン神殿。
しかし、本当の古代ギリシアも、そしてこれから我々がプレイする『アサシン クリード オデッセイ』も、これとは全く違う色彩の世界です。
神殿=白のイメージなのは、色がはげてしまっているからで、2500年前の古代ではカラフルに彩られていました。
古代の神殿の色を復元したものたち。カラフルでポップでビビット、そしてめちゃくちゃ攻めた配色です。古代ギリシャの神殿は極彩色で目立ってナンボです!
『アサシン クリード オデッセイ』でもこういった古代のカラフルな神殿が見事に再現されていて、古代ギリシア世界の鮮やかさを体感することができます。
『アサシン クリード オデッセイ』はゲームである一方、古代ギリシアに今は失われた色をつける試みだと思います。私も頭では神殿は鮮やかだと知っていますが、実際に色がついた古代ギリシア世界を自由に歩いたことがありません。青い空と青い海に挟まれて、赤、黄色、青、白、黒に色づいた古代ギリシアをゲームで経験できるのが楽しみです。
というわけで、次回は『アサシン クリード オデッセイ』に関わりのある古代ギリシアの歴史について掘り下げて行きたいと思います。
カテゴリー:アサシン クリード オデッセイ, 古代ギリシア探索